サッカーの話をしよう

No.1151 ハリルホジッチを信用していいのか

 日本サッカー協会は、今後もバヒド・ハリルホジッチ日本代表監督(65)をサポートしていく方針を固めたようだ。しかし16日の東アジアE-1選手権、韓国に対する1-4の敗戦のダメージは大きい。
 38年ぶりという韓国戦大敗は痛いが、サッカーにはそうしたこともある。試合結果以上に大きな問題は、韓国に圧倒されて一方的になってしまった流れを最後まで変えられなかった点、そして変えようという努力を放棄してしまった印象を与えた点だ。
 前半の半ば、1-1の同点とされ、さらに猛攻にさらされるなかで、システムを4-3-3から4-2-3-1に変えた。中盤の守備力を強化するためだったのだろう。だが努力はそこまでだった。
 開始2分にPKで先制した後、ほぼ何もできずに45分間が終了し、1-3と差が開いていた。にもかかわらず、ハーフタイムを終えて出てきた日本代表に1人の選手交代もいなかったのにまず驚いた。
 前半は明らかに戦えていなかった。韓国のスピードを恐れ、ボール保持者にまったくプレッシャーをかけられなかったのだ。どんな監督でも、ハーフタイムには当然大声で怒鳴り、戦うことを求めるところだ。そして少なくとも1人、点差を考えれば2人の交代を行うのが当然だった。
 前半と同じ11人の戦いぶりにほとんど変化がないことはさらに大きな驚きだった。
 「ハーフタイムには選手を鼓舞した」と、試合後、監督は語った。「形を崩さずに2点目を取りに行こう」という話を聞いた選手たちは、このままでいいんだと思ったかもしれない。試合が変わらないのは当然だった。
 さらに椅子から飛び上がるほど驚いたのは次の言葉だ。
 「これはA代表ではなかった。B代表なのかC代表なのか、それともDか」
 だから勝てなくて当然と言わんばかりの発言は、この大会に招集した選手たちを侮辱するものだ。到底受け入れられるものではない。
 選手入れ替え時という難しい状況でチームを引き継いだハリルホジッチ監督。何回もピンチに陥ったが、その都度会心の試合を見せて勝利を飾り、6大会連続のワールドカップ出場に導いた。昨年11月のサウジアラビア戦、ことし3月のUAE戦、そして8月のオーストラリア戦。そのなかで、ワールドカップに向けての日本代表のサッカーはこれだという戦い方も示した。その方向性に間違いはない。
 だが韓国戦後の言動は、この人物を信じてよいのか、任せておいてよいのか、小さくない疑念を抱かせるものだった。ただ「サポートする」ではなく、日本協会からはその疑念を払拭(ふっしょく)する説明の言葉を聞きたい。

(2017年12月20日) 
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