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サッカーの話をしよう
No.870 スタジアム専用化の努力を
20シーズン目を迎えるJリーグ。町田ゼルビア(東京)と松本山雅(長野)がJ2に昇格し、J1と合わせると全40クラブ。全国の6割強に当たる29都道府県にJクラブが存在することになった。
20年前、Jリーグは8府県、10クラブだった。発足当時の熱狂はないが、プロサッカーはこの国に完全に根付いたと言える。
J1が18クラブ、J2が22。サッカーにおいて大きな実力差がないことは、J2同士で争った天皇杯決勝戦で証明済みだ。だがそれでもJ1とJ2で決定的に違うものがある。スタジアムだ。J2では「専用化」が進んでいないのだ。
J1では18クラブの3分の2の12クラブがサッカー(あるいは球技)専用スタジアムをホームとしている。しかしJ2では22クラブ中わずか6。27%にすぎず、残りの16スタジアムは周囲に400メートルトラックがついた「陸上競技場」なのだ。
J1のホームスタジアムの平均収容数3万3713に対しJ2では2万0630。圧倒的に小さいわけではない。しかし試合の雰囲気は決定的に違う。観客席からピッチまでの距離が大違いなのだ。
陸上競技場型だと、タッチライン側のスタンドからでも30メートルはある。ゴール裏からだと45メートルにもなる。専用スタジアムではどちらも10~15メートル程度。プレーを間近で見ることができるだけでなく、選手の足音、息づかいまで聞こえる。
雰囲気の違いは、テレビ中継で決定的になる。プレーとともに観客席のファンの反応が映し出されるのが専用スタジアム。陸上競技場での試合だと、文字どおり「間」が抜けたものになってしまう。
「74年大会で建設したスタジアムがすべて古くなってしまった。それを一新することも大会招致の目的」
06年ワールドカップのドイツ開催に向け、ベッケンバウアー招致委員会委員長はこう語った。あまりに率直な話しぶりに驚いたが、真意は理解できた。
日本と同様、スタジアムは自治体がもっているドイツ。74年「西ドイツ」大会で使用した9スタジアムのうち8つが陸上競技場型だった。だが06年大会では12のうち9つが専用型になっていた。真新しい専用スタジアムを生かして、ドイツのブンデスリーガは世界で最大の観客を集めるリーグとなった。
短期間では不可能。だがスタジアム専用化への努力こそ、Jリーグの「次の20年」に向けての重要なキーワードに違いない。
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松本広域公園スタジアム
(2012年2月8日)
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