サッカーの話をしよう

No.837 商品の内容量を増やせ

 ゴールキック24秒、コーナーキック29秒、フリーキック23秒、スローイン11秒、ペナルティーキック1分18秒、そして失点後のキックオフ42秒。
 日本サッカー協会審判委員会がJリーグでリスタートにどれだけ時間がかかっているか調査した。右の数字は昨年のJ1全306試合で出た1回あたりの平均時間である。
 「これから細かな分析が必要だが、海外と比較するとゴールキック(GK)とコーナーキック(CK)に時間がかかっているのは確か」と、松崎康弘委員長は説明する。
 昨年のワールドカップで調べたデータでは、スペインが平均15秒でGKをけっていたのに対し、日本は28秒もかかっていた。出場32チーム中最長時間だった。そしてCKは、イタリアの16秒に対し、日本は27秒(19位)。GKやCKが遅いのは、日本サッカーのスタイルあるいは文化と言っていいようだ。
 05年以来、審判委員会は試合中の実質的なプレー時間(アクチュアルタイム)を調べ、それを増やす方法を研究してきた。レフェリングの問題もある。しかし最も大きいのは選手の姿勢だ。
 昨年のJ1では1試合平均54分43秒だった。アディショナルタイムを含めれば、プレーしていない時間が40分近くあることになる。そしてこの時間はチームによるばらつきが大きく、最も長い60分22秒を記録した広島に対し、最も短い鹿島は51分30秒だった。
 「アクチュアルタイムが長いこと即ち良い試合というわけではない。過去数年間の数字を見ると、選手たちの意識が変わり、努力してくれているのがわかる」と松崎委員長。
 だがJリーグの試合をひとつの「商品」と考えれば、プレーしている時間(内容量)に15%もの違いがあるのは、「購買者(観客)」に失礼だろう。リスタートにかける時間を1回につき1秒でも削る努力が、プロサッカーリーグとして当然の義務ではないか。
 先週土曜日に行われたJ1第14節9試合の公式記録では、GKは175回(1試合平均19.4回)、CKは90回(10回)、フリーキックは264回(29.3回)、ペナルティーキックは1回(0.1回)、失点後のキックオフは23回(2.6回)あった。公式記録に残されていないスローインを除いても、単純に昨年の平均時間をかけると9試合で約4時間近くにもなる。
 この数字を、「プロサッカー選手」たちはどう考えるだろうか。
 
(2011年6月15日)
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